制作過程

2014/08/29 mito

ここ数日、すっかりと秋の陽気ですね。

雨もしとしと猫毛雨。

秋の長雨といった具合でしょうか。

 

季節の移ろいをゆっくりと感じる時間が少なくめまぐるしく過ぎていく現代ですが、

窓を開けて制作できる季節は外の気配を身近に感じる事ができ、大好きです。

 

さてイベントの日も近づき、今回はアクセサリーの新作発表を多く控えているため

帯留めのみの制作をしている時期より、扱う技法の種類も多くなります。

少し久しぶりの技法を試してみたり、新しい組み合わせに挑戦してみたり、

これは帯留めにも合いそうだ。なんてことを考えてみたり。

 

kimitoの品物は基本的に「七宝焼」ありきです。

それぞれのユウヤクの特性、技法の美しさを最大限に活かす事を一番としています。

そんな制作の最中、

よく私にやってくる感情は

「ここで止まって!」

です。

一つの品物を完成させる迄に、最低4回は焼成作業が入りますが

釜から出してすぐ、

色は当然800度を引きずったものです。

青いユウヤクでも、高温のため赤い。

ユウヤクによってとてもとても不思議な色が見れる事があります。

そんなときは”この色がいい!ここで止まって!本来の色でなくていい!”と願いますが

冷めていけばどんどん出るべき色が表れます。

当然ですね。

 

ですがそんな制作過程で私だけが見ている世界は

おもしろい素材感、色、形であふれています。

ただそれらのものはアクセサリーとして使うには強度がなかったり、すぐに崩れてしまう脆いものだったり

製品化は不可能なものたち。

物作りをしている人間が一番楽しんでいるのはこの部分ではないのかと思わずにはいられません。

 

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今日の”ここで止まって!”は、この行程。

焼成前の、ユウヤクが乾いた状態のものです。

ざらざらとマットな質感は素朴な風合いで可愛いのですが

横にすればさらさら〜っと下に落ちてしまいます。

といったように、過程の品をお渡しする訳にはいきませんので仕上げ作業にいそしんでおります。

 

 

写真の制作途中のものも、9月のイベントでお披露目予定です。

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9月23日から28日迄。原宿です。

詳細はコチラをご覧ください。